Search
Library
Home / 現実ファンタジー / 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。 / 5話 予期せぬ投獄

5話 予期せぬ投獄

Author: みみっく
2025-06-24 22:00:56

 さらに、イメージによって『自分はすり抜けるバリア』と『すり抜けないバリア』を使い分けられることも判明した。試しに自分の爪をバリアで切ってみたが、傷一つつかない。しかし、目の前に張ったバリアに指で触れると、確かに硬い感触がある。これは、自分に対しては無害だが、他者や物体に対しては絶対的な防御と攻撃になり得るということだ。これによって使い道の幅がぐんと広がる。

「うん。完璧じゃん。最高だ!」

 俺はニヤリと笑った。その顔には、少年のような純粋な探求心が浮かんでいる。つい面白くて、薪の中に球体をイメージしてバリアを出し、切断してみた。球体にはバリアを張ったままで切れないようにイメージしたため、薪の中に完璧な球体ができあがっていた。「すげぇ~!」思わず感嘆の声が漏れた。まるで透明な彫刻を施したかのようだ。

 そんな実験に没頭していたら、いつの間にか夜遅くなっていた。空は濃い藍色に変わり、満天の星が瞬いている。疲労は感じないが、空腹を覚える。

 明日は情報収集という予定があるが、特に時間指定はない。昼でも夕方でも問題ないし、もっと言えば明日じゃなくても別にいい。このスキルがあれば、時間の制約すらも気にならなくなる。

「異世界生活、楽しいかも。っていうか……スキルが便利で面白い!」

 俺は満ち足りた気分で、ふかふかのベッドに身を沈めた。明日への期待が胸に広がる。

 ——予期せぬ拘束

 翌朝。

 俺は朝食をとることにした。テントの中には朝の光がやわらかく差し込み、外からは鳥のさえずりが心地よく耳に響く。前世では、夜遅くまでゲームやアニメに夢中になり、寝不足がちで、朝食を食べる時間よりも出勤ギリギリまで睡眠を優先していた。だが今は違う。ゆっくりと時間が流れるこの贅沢を、心ゆくまで味わえる。

「肉ばっかりだと飽きるよな……たまには野菜も食べないと」

 俺は湯気を立てる温かい野菜スープ、彩り豊かなサラダ、焼きたての香ばしい匂いが食欲をそそるパン……そして、やっぱり豪快な骨付き肉も出した。テーブルの上は瞬く間に豪華な朝食で彩られる。

「うん。肉も必要だよな? 野菜だけじゃ力が出ないし」

 俺は納得して頷いた。肉にかぶりつき、そのジューシーな旨味を堪能する。

「うわ~この朝の、ゆっくりとした時間を過ごせる幸せ……最高じゃん」

 まるでオッサンみたいな発言だが、前世の記憶があるので仕方ない。しかし、前世と違い、この世界では失われていたはずの好奇心やワクワクするような感情が蘇ってきている。心臓がトクトクと高鳴るのを感じる。あの時の、ミリアを助けたいと動いた衝動は、まさにその新たな感情の表れだった。

 昨日の騒ぎ。前世の俺だったら、きっと厄介事には近づかなかっただろう。たとえ可愛い少女が負傷していても、野次馬の中に紛れることはあっても、率先して助けになんて行かなかったはずだ。目立ちたくない、厄介事には関わらない。それが前世の俺の人物像だった。この世界に転生してきて、まるで別人格に変わってきているな……。

 朝食を終え、ゆっくりと食後の時間を過ごしてから片付けをして町に入ると、昨日とは打って変わって、至る所に兵士の姿があり、町全体が物々しい雰囲気に包まれていた。通りの人々も話し声は小さく、どこか緊張感が漂っている。兵士たちは皆、顔に疲労と厳しさを浮かべ、警戒の視線を四方へと向けていた。

「何が起こったんだ?」

 俺は訝しげに周囲を見回した。昨日とは雰囲気が一転して重々しいというか……事件でも起きたのか? 強盗? 殺人? それとも、お偉いさんの視察でもあるのか?

 ま、平民の俺には関係ない。それよりも、情報収集しなきゃな。とりあえず広場の方へ向かうか。

 広場に着くと、そこにも数人の兵士がいた。彼らの鎧は陽光を鈍く反射し、表情は硬い。中央の噴水の周りも、いつもより人が少ないように感じられた。

「ずいぶん人員を投入してるなぁ……」

 俺は内心で呟いた。もし厄介事に巻き込まれたら、情報を聞いてすぐに町を出た方が良さそうだ。

 近くにいた子供に話を聞こうと一歩踏み出した、その時だった。いきなり背後から兵士にガシリと肩を掴まれ、懐から取り出された人相書きの絵と俺の顔が何度も見比べられた後、そのまま捕まってしまった。兵士の手はごつごつとしていて、強く肩を掴んでくる。

「は? 何もしてないんだけど? 人違いだろ……」

 俺は驚きと困惑を隠せない。抵抗すれば騒ぎになるし、まあ、逃げるのは簡単だけど……ここで逃げたら、せっかく辿り着けた町に入られなくなったら困る。大人しく従うか。無実だし、何もしてないんだから。

「何もしてないんですけど?」

 俺は困った顔で尋ねた。

「そんな事は知らん! 上から捕らえよとの指示なんでな。悪いな」

 兵士は感情のこもらない声で言い放ち、俺を引っ張っていく。その態度は、まるで感情のない人形のようだった。

「で、どうなるんですか?」

「まずは投獄だろうな……それ以降は知らんな。何も聞かされてはおらんからな……」

「は? 投獄って……」

Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP